2018年に奥尻島に一家で移住し、年間500名以上のゲストをご案内している島唯一のネイチャーガイドが、奥尻島の概要やポイントをまとめましたので、目を通していただければと思います。

概要

神様ブナ
奥尻ブルー

奥尻島は対馬暖流の影響を受けているため、年較差(年の最低気温と最高気温の差)が小さく、北海道では一年を通して最も温暖な地域です。
島の大きさは、日本全国の有人離島416のうち、19位(142.97km2)
人口は約2,300人。(2022年12月時点)
飛行機とフェリーでアクセス可能。

水は湧き水。人が住み始めた約8000年前から一度も水が枯れたことのない奇跡の島!!
豊かなブナの森のお陰です!!

海産物はもちろん豊富ですが、それに負けず劣らず農作物もすごい!!
なんてったって離島では世界最北限の米どころです。
自給自足的な暮らしを目指すには恵まれた自然環境。

電力は独立していて、『火力>水力>地熱』北海道胆振東部地震で北海道全土が停電したときも影響を受けませんでした。

教育は幼稚園2校、小学校2校、中学1校、高校1校。特に高校は全国で初めて町立移管した高校で、全国から生徒を募集し、特色ある学校運営をしている。例えば、授業でスキューバーの資格が取得できたり、町おこしワークショップと題して島の課題を見つけ、解決策を練り、実際に町民相手にプレゼンをするなど、学校の枠を取り払った活動がすばらしいと思います。(私は自然講師として小学〜高校まで毎年関わらせていただいています)

基幹産業は漁業と観光業であったが、2019年に緑館(島唯一のホテル)閉館に伴い、フェリーせたな便の休止が決まり、観光客は激減。高齢化や人口減少も相まって奥尻島は厳しい状況ではある。

しかし僕はいたって前向きで、それには理由があります。

こんなにも魅力たっぷりの奥尻島なのに、認知度がまだまだ低い。
知っていたとしても平成5年の北海道南西沖地震により「奥尻島=地震」のイメージが強く、奥尻島の魅力を知っている人は少ない。ということは「伸びしろしかない」と思っています。
そこで私は、南西沖地震を知らない世代(30代以下)にまずは奥尻島の存在を知ってもらうこと、そして魅力を体感してもらうことを目的に、毎年全国から大学生を40名受け入れて、9泊10日の合宿を行っています。参加した学生は、奥尻島のファンになり、人生観が大きく変わったと好評を得ています。(実際に移住した学生もいます)
興味のある方はこちらをチェックしてみてください→《ECOFF奥尻島》

そして仲間の存在。
若い世代が奥尻島の未来を考え有志で集まり「チーム島おこし」を結成。平成30年8月には約20年ぶりとなる花火大会を開催。子どもたちが奥尻島で楽しめるもの、そして活動を通して未来を担う人材を育成していくことも視野に入れている。

奥尻島の未来は明るいです。

花火大会フォトコンテスト最優秀作品

月別の季節感

【1月】

スキー場オープン!!(あるんです!!)シーズン券がなんと大人2,100円、高校生1,050円、それ以下無料(だいたい1~3月中旬)。リフトはロープ式です!!スキー愛好会の方々が親切丁寧に指導してくださるお陰で、島の子どもたちはみんな上手です!!

【2月】

冬の荒々しい日本海が楽しめる。道路まで波が降ってくる光景(ゴッコやホヤが打ち上がる)、岩に波がぶつかる振動、音(家が揺れる)、波の華。天然岩海苔が獲れる時期で、浜辺には手打ち海苔が干されている。北西から吹く強烈な寒風により、最も厳しい季節。でも「寒くなる時に寒くなること」が自然界では大切です。身近な例だと、海水温が下がることで海藻が茂り、それに伴い夏に旬を迎えるウニがいっぱい海藻を食べることで、身入りが良くなります。

【3月】キトビロ(行者ニンニク)が採れ始めるほど雪も少なく温かい!!奥尻島のキトビロは匂いもきつくなく食べやすいと評判で高値で取引されています。またキトビロとジンギスカンとの相性が抜群!!天ぷらは言わずもがな!ヒグマがいないので、安心して山菜採りができるのも嬉しい。

子育てに南方から渡ってくる鳥や、シベリアに抜ける珍しい渡り鳥(ヤツガシラ、ブッポウソウなど)が休息に立ち寄ります。
森の葉っぱが茂る前はバードウォッチングがしやすくてオススメです。

浜辺ではサクラマス狙いの釣り人がちらほら。

【4月】

ブナの新緑が楽しめる僕の一番好きな季節。森も一気に芽吹き始め、カタクリなどの春の妖精たちも顔を出し始める。フキやタラの芽などの山菜も採れる。
海ではわかめ漁が始まり、さっと湯がいてポン酢をかけると永遠に食べてしまう。
4月中旬に道路「桜木線」が開通し、球島山展望台にアクセス可能になります。息を呑むような絶景が待っています!

【5月】

磯釣りベストシーズン!春ボッケ、真ゾイ、縞ゾイ、アイナメ、ハチガラ、ガヤ、ヒラメなど。
移住したての釣りド素人の僕でも1時間で10匹は釣れました。

山では、ウド、ワラビ、タケノコなどが採れ始めます。

また、養殖の生ウニも地元飲食店に出回り始めます。

【6月】

ガス(霧)がかかることが多い。というのも南からの対馬暖流と北からのリマン寒流が奥尻島の西の沖合でぶつかるためです。ヘラガニ、ホツブ、岩牡蠣、桜貝、(僕は奥尻島で一番好きな食べ物)、が獲れはじめる。

磯釣りが楽しめるのも中旬くらいまで。漁港にサバやアジが入ってくるまで、しばし休憩です。
水温は20℃くらい。ウエットスーツなどを着用しなければ海水浴はまだ寒く感じます。

【7月】

7月中旬より、待ちに待ったウニ漁解禁!!天然の生ウニを食べられる短いシーズンスタート(8月10日ほどで終了します・・・)海の透明度もグンと上がる!

風向きはヤマセと呼ばれる東風に変わり、奥尻島の中央に山があるため、西海岸は風のない穏やかな日が多くなる。透明度抜群で鏡のような海水面をSUPやカヤックで海上散歩するのは贅沢の極みです。

【8月】

奥尻エビネ(奥尻島と東北で見られる貴重な花)が見頃を迎える。山は日中アブがわんさかいるので朝方に。日中は海がオススメ。20時でも明るい!!

漁港では、サビキ釣りでサバ、アジなどがたくさん釣れます。素揚げ、天ぷら、南蛮漬けが最高!

【9月】

海水温はこの時期が一番温かい。まだまだ海で遊べます!
夕陽が見られる可能性が高くなるのもこの時期!誰もいない大海原にSUPやカヤックで漕ぎ出して眺めるサンセットは格別です。
また、秋のホッケが一番脂がのっていて好き。幻の「ホッケしゃぶしゃぶ」にありつけたら、あなたはラッキー。食べたければ、自分で釣って作りましょう!お供しますよ(^^)

【10月】

木の実(山葡萄、オンコの実など)が採れ始める。僕はコクワが大好き。リンゴ、ナシ、プルーン、キュウイフルーツなども採れるんですよ。きのこ狩りも真っ盛り。ナメコ、クリタケ、椎茸など。
蚊やアブもいなくなり、山も色づき始めます。奥尻島は本州の植生と北海道の植生が合わさったバラエティ豊富な森なので彩りもカラフル。

【11月】

山の葉は完全に落葉して、森が明るくなります。林床は落ち葉の山。ふわふわのハイキングが楽しめます。肌寒い季節に、森の中で飲む温かいコーヒーが僕は好きです。
漁港ではカジカが釣れ始めます。通称「鍋壊し(カジカ汁)」が絶品。

【12月】

シベリアから越冬のために、オオワシやオジロワシが来島。本格的な冬の訪れを感じます。
北海道にしては、雪はあまり積もらなく穏やかな日が多い。
タラがおいしい季節で奥尻島の郷土料理「三平汁」に舌鼓。
寒くなってきた季節に芯から温まる「​神威脇温泉」が最高。

以上ざっくり個人的な季節感を記載しました。多少のズレはご了承ください。
結論は、いつ来てもその時その時の「楽しみ」があります。
僕にご相談ください(^^)

奥尻島のココがすごい!!

【人】

僕の大親友、佐藤さん(左)

まずは温かい島民の方々です。
飲食店や買い物をする時に、ぜひ話しかけてみてください。
きっとその優しさにほっこりすると思いますよ。

【海】

この透明感!!

独特な青色の海は透明度は25mを誇り「奥尻ブルー」と称されている。
冬は猛烈なシベリアおろし(西風)が吹き、海は大時化ですが、春〜秋にかけてはやませ(東風)が吹くため、絶景の西海岸は穏やかな海となります。SUPやカヤックで海上散歩すると更に奥尻島の魅力に気付けるでしょう。

冬の日本海は荒々しい
海外のようなスケール感

【森】

豊かなブナの森が全ての命を支えています


しかし魅力は「海」だけではありません。実は奥尻島は森がすごいんです!!
島の8割を森が占めていて、その6割がブナです。
ちなみに島まるごとブナ林帯であるのは日本で奥尻島のみ!
山にはヒグマやエゾシカ、キタキツネなどの動物や、マムシもいないため安心して森を歩くことができます。その代わりにエゾタヌキがいっぱいいます。笑
奥尻島唯一のプロのネイチャーガイドが森を案内することもできます。

エゾタヌキ

【奇岩】

島には多くの奇岩があり、その代表として鍋釣岩が挙げられます。

【夕陽】

北海道の最西端から眺める夕陽も格別です。

​神威脇地区のシンボル「屏風立岩」
お気に入りの場所

【温泉】
「神威脇温泉」ほど汗のとまらない温泉に入ったことがありません。それもそのはず、マグマで鉱物が溶けた時に発生するガスと共に湧き上がってくる源泉をそのままかけ流しているからです。酸素になるべく触れずに湯船まで源泉を持ってきているので泉質をフルに味わえます。

グルメ

海産物としては、ウニやアワビが有名ですが、個人的には「ホツブの刺し身」「桜貝の酒蒸し・炭焼き」「ホヤ串焼き」「岩牡蠣の生食、酒蒸し」はたまらなく好き。新鮮なホッケじゃないと食べられない「ホッケしゃぶしゃぶ」「タラの昆布締め」も絶品。また市場には出回らない「ハチガラ」「ガヤ」「アイナメ」の煮付けや刺し身(これらを食べたきゃ自分で釣るしかない!笑)も美味しいです。

特産品としては、ウニやホヤの塩辛寒海苔が好き。また、奥尻ワイン(ブドウの栽培から加工まで全て島で完結!!)、地酒(お米と水は奥尻産、製造は小林酒造にて)、アスパラ奥尻米、など。どれもクオリティーが高いです。

まとめ

寝室から見える星空





空気
景色
温泉
食べ物
島民

「幸せに生きる上で最低限必要なものが、全て揃っている」場所だと思っています。
モノや情報に溢れた世の中だからこそ、奥尻島の存在意義は高まっていると感じています。
一度、奥尻島の魅力を知ると、何度でも訪れたくなる。そして移住したくなると思います。(実際にimacocoに関わった方が10名ほど移住しています)

僕が、季節やその日の天候に合わせて、大好きな奥尻島をご案内いたします。
みなさんにお会いできる日を楽しみにしています。

『アクティブに遊びたい』
『旅はやっぱり交流でしょ!!』

『温泉に一番近い宿が良い』

そんな方にはぴったりの宿です。
   

コメント一覧
  1. 中川千恵 より:

    来年、奥尻島旅行を計画中で、こちらを見させていただきました。

    すごく参考になりました!

    知れば知る程 奥尻島へ行きたくなっています。

    • imacoco より:

      中川さん
      コメントいただけてすごく嬉しいです。
      春夏秋冬、それぞれの魅力がありますので、気になることなどお気軽にお問い合わせくださいね。
      いつか中川さんにお会いできる日を楽しみにしています。

  2. ゆう より:

    はじめまして!大学の授業で奥尻高校を知り、面白い学校もあるなぁと思ったのがきっかけで奥尻について調べてみたらすごく自分の見てみたいなぁって思っていた星空があって、大学4年間のどこかのタイミングで奥尻島に行きたいなと思いました!ホームページを拝見するとお友達とかご家族同士で行ってる方が多い感じがしますが、女子一人旅でも楽しめますか…??

    • YUTO より:

      ゆうさん、コメントいただき有難うございます。
      ぜひ、タイミングを見つけてお越しください。
      老若男女問わず、一人旅の方もたくさんいますよ。
      もしよろしければ、こちらの大学生ボランティアプログラムをチェックしてみてください。
      いつもはすぐ満員になりますが、今回はまだ空きがあります。
      10日間も滞在していたら、すばらしい星空に出会える可能性もありますね。
      何より、全国に友達ができて、一生心にのこる時間になると思います。
      以下のリンクからご確認ください。
      よろしくお願いします。
      https://ecoff.org/murabora/okushiri

      • 山崎由治 より:

        こんにちは、初めまして  
        東京在住の71歳老人です。
        奥尻島の淡水魚は健在ですしょうか。
        離島の鮭科と鮎の生息数が減ってきています。
        地質から観る温泉と鉱物に興味がある他、島の成り立ちと渓流魚の分布と密度を地殻と気候変動の影響を危惧しており、このたび奥尻島・利尻島・礼文島の沢へ分け入ろうと企画しております。
        若い頃は大山脈に分け入り、数日間 藪を漕ぎ滝やスラブ壁をクライムし、淵も釜も泳ぎ、源頭から道なき山頂へ。当時はGPSも無く、帰路も地形図を方位磁針で読みながら人里へ降りる沢登りに夢中でした。越後も東北も渓流魚がここ15足らずで激減しております。
        年老いた現在は流程の短い離島の沢を沢から頂へそして沢を下降しながら、魚の生息数を調べております。
        この方、大佐渡山脈の諸渓流をほぼ調べ終わり、この7年で特に鮎の遡上がめっきり減りました。鮭科の魚も個体数と大きさに年々憂いている有り様です。
         まことに恐縮とは思いますが、奥尻島の渓流魚の様子をご存知でしたら、教えて頂けたら幸いです。礼文島はルアーフィッシングの方の投稿で自然が荒れたような印象で、嘆かわしい現状を確かめて来たいと思っております。奥尻島はブナ林が健在な分、渓流魚が自然を謳歌している事を期待して、魚達の楽園を観たいと思っております。
          お忙しいところ、長文で失礼致しました。
         山崎 由治

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