今回の出来事をどこから書き始めたら、この驚きと興奮が伝わるだろうか。

事の発端は一年前に遡る。

一年前

奥尻ワイナリーの醸造家、菅川さんから「来年の9月14-16日に、天使大学の学生ボランティアが20-30名程度来るので、宿を押さえておいていただけますか?」と相談があった。

断る理由もなく、「もちろんです!何かご協力できることがあれば遠慮なく!」そんなやりとりをしていた。

菅川さんは、関係人口創出のために、天使大学の学生を毎年島に呼んで、島内の子どもたち向けの食育プログラムや、お寺でワイン会などを企画していた。僕も多少なりとも関わらせていただいていた。

「いつもは学生たちにゆっくり島で過ごさせてあげられていないから、今回はただただ島を楽しんでもらいたいと思っているので、外崎さんは絶対に島にいてください。アクティビティも体験させてあげたいので」いつも以上に僕へのオファー熱が強い。その想いに応えたく、僕はアクティビティの予約を取らずに、9月15日を学生たち貸切にすることに決めた。

このやり取りから一年後、菅川さんから「予約ちゃんと取れてますかね?」と確認の連絡。それ以上の情報は何もない。まぁ何かあれば連絡をくれるだろうと思い、僕は当日を静かに待っていた。

9月14日昼の部

海は穏やか。しかし明日は強風のため、SUPができなさそうだ。希望者は15名と聞いている。菅川さんに「明日はSUP出来なさそうだから、今日の午後にずらしませんか?」と提案したところ、「4名は飛行機で昼に到着するけど、残りのメンバーはフェリーで21:30頃にimacocoに到着する予定で、生憎飛行機組はSUPを希望していないのです」との回答。

天候ばかりは仕方ない。そう思いながら、僕は一般のお客さんのSUPガイドをしていた時のこと、道路から大きな声が聞こえる。どうやらこっちに向かって手を振っている様子。「飛行機組の4名はノリがいいんだな」そう思ってそれとなく手を振り返し、よく見てみると見覚えのある顔ぶれ「雄斗さーん!紗良でーす!!!」なんと、3年ほど前に立教大学からECOFFに参加したOG4名がサプライズ登場。嬉しい突然の再会にテンションが上がったが、ガイド中だったため、仕事に戻る。僕の尋常じゃないテンションの上がりように、お客さんから「お友達ですか?」と訊かれたので「家族のようなものです」そう答えた。

(ECOFFの活動についてはこちら)
       これはサプライズの序章に過ぎなかった。

思ってもいない再会に心が躍り、「何しに来たの?」と4名の学生『しろくま』(3年前に奥尻島にボランティアに来てくれた時のチーム名)に問いかけると、「天使大学の学生がフェリーで夜遅くに到着するから、imacocoを使い慣れている私たちにこの二日間をサポートしてほしいと菅川さんに頼まれたので来ました」とのこと。

4人とも社会人になって、貴重な三連休を使ってわざわざサポートに来るなんて、流石だなと感心。実は僕たちは2年前に土砂崩れに遭い被災しているのだけれど、その時もこのメンバーは駆けつけてくれて漁港の掃除を手伝ってくれた。すぐに駆けつけてくれるみんなだからこそ、今回のサポートにわざわざ来ることに何ら疑いを持たず、自然に受け入れていた。

「しろくま」のみんなを空港からimacocoまで送ってきたのは十蔵。
彼は奥尻ワイナリーの菅川さんの部下(僕の教師時代の教え子)で、いつも一生懸命だ。

(彼との感動秘話はこちら)

僕はハイシーズンを走り続けて疲労も溜まってきていた時期で、フェリー組到着の21:30まで起きていられる自信がなかったから、「しろくまのみんなに、フェリー組が泊まる客室を伝えておくから先に休ませてもらうね」そう言ったら十蔵が「雄斗さん、21:30まで起きていてください。学生を紹介したいですし挨拶してほしいので」と力強く言われたものだから、よくわからないけれど頼まれたし起きて待つことにした。

9月14日夜の部

一足先に到着した「しろくま」のみんな

そろそろかなーっと眠たい目を擦って、僕と菅川さん、しろくまのメンバー、そして僕の家族で話をしながら待っていた時のこと。

「ただいまー!!!」

「ただいまー!!!!」

「ただいまー!!!!!」

と続々と人が入ってくる。
振り返ると、全員見覚えのある顔ぶれ。

僕の頭の中は「???」歴代のECOFFが世代を超えて次から次へと入って来る。あまりにびっくりして足はガタガタしてくる。でも目の前で起こっていることはとんでもない奇跡であって、二度とない瞬間だと、冷静に呼吸に意識を向けて心に刻んでいる自分もいた。

(マインドフルネス効果!詳細はこちら)

このサプライズを成功させて涙を流している人、覚えてくれているかな?と不安そうな表情をしている人、ニヤニヤしている人、あの空気感は絶対に忘れないでおこう。

今回のイベントは天使大学でなく、僕が2019年から受け入れてきたECOFF122名のOBOGの中から、この三連休に都合をつけられた20名が一斉に集まってくれたのだ。住んでいる場所も、状況も(ほとんどが社会人になっている)みんな違うのに、この日にタイミングを合わせて、ただただ僕たちをびっくりさせて喜ばせたい一心でこのメンバーが集まってくれたことは、本当にありえない奇跡だと、有り難く、感謝が溢れて来て大変だった。

一年前から面識のないメンバーがオンライン会議をして計画を立て、菅川さんのサポートもあり、函館から江差港まで大型バスを貸し切って来て、チーム奥尻ワイナリーが奥尻港からimacocoまで送迎してくれた。温泉の中川さんも営業時間を伸ばしてくれた。
(中川さんの後日談「こんなに島内外の人が外崎さんのために動くって尋常じゃない。映画のワンシーンを観させてもらった感覚です。有難うございます。本当に外崎さんの活動は素晴らしいと思います」僕は周りの方々のお陰様です!と本気で思っています。)

大型バスを貸し切って函館から江差港へ向かう

このサプライズに僕がどれだけびっくりしたかは、この動画をご覧いただければ一発で伝わるかと思います。かなり恥ずかしいけど公開します。。。笑

            僕の顔がやばいです。笑

当然、僕の眠気なんてどこかに吹っ飛び、そこから再会を喜んで宴が始まる。
しかも乾杯は十蔵が初めて手がけた奥尻ワインというサプライズ付き。
誰がこんな未来を予想できるだろうか。
8年前に釧路商業高校の生徒指導室で出会った青年と、今此処でこの状況でこのお酒で乾杯をする未来を。
一分一秒が夢のようで、寝る間も惜しい。

               夢のような光景

OBOGと個別に再会することはあったとしても、このメンバーが一堂に会することなんて普通はない。みんなの強い意志がなければあり得ない。突然、生前葬が始まったような感覚だった。笑

「何もいらない。何か特別なことをしたいとも思わない。ただただ、みんなと時間を共有したい。それだけで幸せ」心の底からそう思った。これを究極の幸せと呼ぶのかもしれない。
今までに体感した事のない気持ちになった。

もし僕が還暦まで生きていたら、生前葬をやりたいな。自分の葬式にせっかく大好きな人が集まってくれているのに、一緒にその時間を過ごせないなんて、感謝を伝えられないなんて勿体無い。そしてみんなに集まってもらえるような生き方をしたい。冗談のようでけっこう本気。

imacoco10周年祭とかもいいかな。
みんなが集まり、再会を喜び合い、新たな出逢いもあり、感謝を伝え合う。
そんな光景をまた見たい。

夢がまた一つ増えた。

9月15日夕方の部

急遽帰ることになった弘行を見送る

翌日は案の定天気が荒れていたので、夕方のBBQまでは、それぞれ思い思いに過ごすことに。
アクティビティも貸切にしていたため、僕も一日みんなと過ごすことができた。

ちょっと話をずらします。

imacocoのスーパーアシスタントももちゃんは音楽一家。2年前からimacocoのテーマソングの制作依頼をしていて、今年の8月に完成。僕と妻が奥尻島で暮らし始めて心から感じているコトを言葉にして、ももちゃんに投げ、作詞をしてくれた。作曲はももちゃんのお姉さんがしてくれた。

この歌のお披露目は、9月17日から始まるECOFF15期生を予定して家族で練習をしていた。十日間も僕達と島で過ごせば、この歌のストーリーが心に染みるはずだと思ったから。

imacocoの歌

話を戻す。

15日の夕食は浜辺でBBQ。
最近完成したばかりのimacocoの歌の初披露にはこれ以上ない機会。
感謝を胸に心を込めてみんなに贈った。
でも想いが入り過ぎて涙が溢れる。声が震え歌えない。みんなも泣いている。思い返すと今でも胸が熱くなる。
imacocoの歌は最高の日に産声を上げた。

9月15日夜の部

この景色をずっと見ていたくて、静かに心に刻んでいた。

夜はシェアハウスcocokaraに戻り、寝る間を惜しんでみんなで夢のような時間を過ごす。
それぞれが今感じていることを一人ずつ話していく。すごくいい時間。みんな当時は大学生。今は社会人になっているが、奥尻島で過ごした十日間がターニングポイントになっていること、人生のお守りになっていること、みんなの口から直接聞けると本当に頑張ってきて良かったと思う。

十蔵からは「8年前に生徒指導室で雄斗さんに出逢えたから今がある、生きていて良かった。」と言ってもらえた。

奥尻ワイナリーの菅川さんは、「十蔵の存在に自分は救われている。それもこれも外崎さんと十蔵の関係性がなければなかったこと」そう言ってもらえて、自分の幸せが周りの幸せにも繋がっていることに更に幸せを感じた。

みんなが話し終わった時、明晏から「いつもはECOFFの送別会の時に、雄斗さんから認定証をもらうと思うのですが、今回は私達から雄斗さんに感謝状をお渡ししたいと思います」そう言って、想いが溢れまくっている想像の10倍位でかい感謝状を渡された。そこにはECOFF1期生から最近の14期生までの体験記の写真がズラリ。みんなそれぞれが奥尻島での活動中にSNSに投稿した写真が必ず一枚は入っているとのこと。

お金で買えない宝物がまた増えたし、この関係性こそホンモノでかけがえのない宝。
心の底の底から感謝の気持ちでいっぱいだ。

ニアピンで来てくれたOG

この日も特別で、最高でした。

一年がかりの壮大なドッキリを計画してくれた十蔵、明晏、紗良、そして奥尻ワイナリーのみなさん、imacocoのスパイまじまちゃん、神威脇温泉の中川さん、そして何より都合をつけて、お金も時間も投入してくれたECOFFのみんな。感謝してもしきれない。実はこのドッキリ決行日の朝に、このタイミングで集まれなかったECOFFのOG4名もチェックアウトしていたが、このドッキリについて彼女たちは当然知っていたのに一切触れない徹底ぶり(笑)その中にいた一人から嬉しい報告を受けた。

「就活前だった1年半前に雄斗さんのブナ林ガイドツアーを体験して、今まで見向きもしなかった足元の花に気付き、興味を持ち、そのストーリーに心動かされました。それが十日間の滞在で一番心に残ったことでした。雄斗さんのように人に気付きを与えて興味を持ってもらえることに情熱を注ぎたいと思って、広告代理店に就職することにしました」

と感謝を伝えに来てくれた。泣ける。
感謝したいのはこっちの方だ。有難う。

まさかのドッキリ企画が移住の引き金

朝ご飯の風景。みんな大学生みたい(笑)

このドッキリを企画した一年前に、十蔵がECOFFのOGマナに久しぶりに連絡をしたのがきっかけで、マナは奥尻島に移住するとこになったらしい。予想できない展開。いつどこで誰が何と繋がるかなんて本当にわからない。できることは、今この瞬間を精一杯生きること。あとは委ねる。きっと未来は良くなる。

(マナが移住に至るまで)

最後に

妻も大喜び

幸せはお金で買える。
そんな時もあるかもしれない。
でも、今回明確になったのは、心の底から感じる幸せ、色褪せる事のない幸せはお金では買えない。ということ。

どれだけお金を積んで同じことをやってもらおうとしても「みんなの自発的なピュアな想い」はそこにはなく、同じ感動は絶対にない。だから幸せはお金で買えないっていうのは一つの答えだ。目の前のことに誠心誠意尽くすこと。続けること。それが幸せを生むんだとみんなから教わった。

こんな体験をさせていただいたからこそ、これからも、より謙虚に、より誠実にやっていきたい。真の幸せはお金では買えず、持つべきものは仲間であり、豊かな森のような「関係性」を築くこと。そのためには目の前のご縁を大切に至誠を尽くすこと。

みんなからもらった愛のバトンを、目の前のゲストに贈っていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、有難うございました。

別れのとき。いつか見送る側に誰か加わったりしてね。
また会おう!
僕達の方こそ、感謝です!みんな有難う!

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