ぶっちぎりNO1
「山菜で一番好きなものは?」
と聞かれると僕は迷わず
キトビロ(アイヌ語で『キト』)
と答える。
理由はニンニク好きにはたまらない
香り、味、栄養満点、の三拍子が揃っているからだ。
ちなみにアイヌはこの強くて烈しい臭気に病魔も近づけぬと信じ、伝染病が流行したときには必ず戸口や窓に吊るした。
アイヌの世界観
『人が植物を探すのではなく、植物が人を選ぶ』という考え方がアイヌにはある。
だからこそアイヌの方々は山に入る前に
『カムイノミ』
という儀式をして
これから山にお邪魔します。よろしくお願い致します。
と気持ちを伝えて入るのだ。
そして当然のことながら乱獲はせず、後世のことを考えバランスよく正しく採取する。
『正しく』
というのは、キトビロの場合
必ず根は残す!
ということだ。
そして山のものは神様が人間のために地上へ降ろされた食べ物であり、薬だ。だから神様に感謝して食べる分だけいただく。
このように敬意の払える人を植物は選ぶのではなかろうか。
近頃このキトビロは高値で取引されるため
トラックいっぱいに詰め込んでいく業者を見かける。
目先の利益のことしか考えていない。
今日の世界はその傾向がある。
僕の好きなネイティブ・アメリカンの言葉に
”7th gereration”というのがある。
要は『7世代先のことを考えて今の決断は正しいかどうかを判断する』というものだ。
7世代というと約200年先であろうか。
お金に目がくらみ後先を考えない行いは悲しくなる。
僕はアウトドアガイドとして、アイヌやネイティブ・アメリカンのような自然に対する考え方を伝えていけたらと思う。