夢のような時間

奥尻島に誠さんがいるのが夢のよう

一番会いたくて、そして一番会いたくない方が僕に会いに来てくれた。
しかも道東は鶴居村から北海道最西端の離れ島、奥尻島まで。
僕にとって間違いなく人生の恩師である。
その名も安藤誠さん。

「中途半端」は秒で見抜き、
誠さんの中には一切誤魔化しがなく「ホンモノ」しか存在しない。
それは、誠さんのようになりたいという人生における道標、北極星であると同時に、
圧倒的な大自然の中で自分の小ささや弱さを認めざるを得ないような存在でもある。
だから、一番会いたくて会いたくない。
そんな方なんです。

※長文になります。今回僕が「学んだことや決意」は後半にまとめてあります。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

5月下旬に突然電話をいただく。
「来週会いに行く」
気づいた時には直立不動の自分がいた。


誠さんは世界に誇るネイチャーガイド。
口癖は

「備えよ、常に」(仕込み9割、現場1割)だ。


きたる日に向けて様々なことをシュミレーションし、仕込みが始まった。
許された時間は一週間。
天候に合わせたスケジュールを何パターンも作り、
食事や講演会の段取り、自分が聞きたいことの整理など。
そうこうしているうちに、すでに学びがあることに気がついた。

「今までの仕込みは、仕込みとは言えなかった」

まだ会ってもいないのに、自分の甘さを知れたことに感謝した。

そして当日、
奥尻港で迎え入れる僕の心臓は本当に口から出そうで
何度も何度も胸を叩いてギリギリ自分を保っていた。
人生で一番緊張したかもしれない。


続々とフェリーから車が出てくる中、
最後の最後にバイクのエンジン音が聞こえてきた。

奥尻港に降り立ち第一声

「お前がいたから来たんだぞ」

ココに来るまでの「覚悟」「犠牲にしたもの」「時間」「エネルギー」「お金」をかけて
世界中から引っ張りだこの誠さんが、自らの意思で僕に会いに来てくれた。
そのことを想像するだけで、涙が溢れた。

宝物のショットとなった
奥尻島に来てくれることは決して「当たり前」ではなく、
それ自体がすでに「奇跡」であるという意識を持って、
観光客を島全体で「おもてなし」していくことが全ての基本である。


いくら島に楽しい遊びがあろうが、美味しいものがあろうが、
結局、最後は「人」という紛れもない事実。
そういう意識を島民全員が持っているか。
とても難しい問題をはらんでいるけど、諦めずに僕は立ち向かっていきたい。

講演会のチラシ


「雄斗のためなら何でもする。講演会もする。話す内容も雄斗が決めていい」
そう言ってくださって実現した講演会。
しかし無料の講演会に慣れている島民にとって、
参加費¥2,000を支払う講演会に人が集まるか不安だった。

ちなみに料金をとる。というのは儲けたいとかいう話ではなく、続けていくためです。
そして参加者にも「元を取りたい」という意思が働くことが、
実りある時間にするために大切なことだと思っています。

蓋を開けてみると、急な呼びかけにも関わらず、23名の方から参加表明をいただいた。
「どうしても誠さんには一度会ってほしい」という僕の情熱を信じて、集まっていただいたこと。
それだけで僕は心強かったし、奥尻島の未来は明るいと希望が持てた。


講演会までの時間は、できる限り一緒に奥尻島を巡り
「世界で活躍するネイチャーガイド」は奥尻島をどう見ているかを聞かせていただく
贅沢すぎる時間を過ごさせていただいた。

誠さんの哲学に触れる
すばらしいガイドと自然の中にいると100倍楽しくなる

講演会は会場にいた全員を釘付けにし、
それぞれに学びがあったのが手にとるようにわかった。
ただでさえも観光地として苦境に立たされている中、追い打ちをかけるようにコロナが襲ってきた。
終わりの見えない暗いトンネルに、誠さんは灯りをともしてくれました。

何を参加者が求めているか一人ひとりに確認して、
話す内容を決めている。まさに「ガイディング」


以下、僕が全体を通して学んだこと、そして決意表明をしようと思います

学んだこと

※箇条書きにすると50個以上もあったのでココでは4つに絞ります。

カメラも上手になりたい photo by Makoto Ando
①スキルとは人を幸せにするためにある。

→誠さんは、僕たちの為に出し惜しみすること無く、限られた時間の中で多くのことを伝えてくださった。「お客さんを喜ばせたい」その気持ちで誠さんはガイド力も、写真のスキルも、何もかも努力し高め続けている。「料金をとるということは何かを持ち帰ってもらうということだ」と。奥尻島に来て僕に出会った人全員が、「奥尻島に来てよかった」そう思ってもらえるように更に努力をしていく。

②データを取れるのはそこに住んでいる人の特権。

→例えば、いくら鳥に詳しい人がいても、訪れたことのない場所で、確実にターゲットの鳥を見るにはハードルが高い。でも奥尻島に住んでいる僕が、奥尻島にいる鳥だけでも「どこで」「いつ」見られるのかを把握することは、ココに住んでいる僕の特権だ。だから、僕は鳥に限らず、山野草なども含めてデータをとっていく。

③インストラクターとガイドの違い。

→インストラクターは毎度決まったことを説明する。近い将来、AIに取って代わられるだろう。  
一方、ガイドとは「相手ありき」。どこから来たか、バックグランド、何に興味があるか、パートナーとの関係性は?などを鑑みて、その人にとってのストライクボールを投げる。人と人、人と自然を繋ぐのが「インタープリター(間・くっつける・人)」。僕は後者でありたい。

④奥尻島は世界に誇れる自然環境。

→僕はそう信じていたけど、世界の自然に精通している誠さんのお墨付きをいただくと、俄然自信が湧いてくる。 ココ奥尻島は、世界でも屈指の自然環境を誇る沿海州の息がかかっている。そしてその息は北海道本土にはかかっていない。日本にいながら、沿海州の自然を感じられる貴重な場所。僕は、島まるごと道立公園に指定されている奥尻島に誇りと責任と感謝を持ってガイドしていく。

決意

①imacocoはすでに自分たちだけのものじゃないということ。

多くの方の想いが詰まった船。その方々に失礼のないように、僕たちはココを守っていく。

②年内にプロの北海道アウトドアガイドになる。

9月の自然分野の筆記試験を突破し、10月の実技試験の切符を掴み合格する。

③「Okushiri Nature Labo(仮称)」を立ち上げる。

野鳥や山野草、樹木、歴史、Tsunamiなどを島民同士で切磋琢磨し勉強する。

コロナがあったから、このタイミングで誠さんが奥尻島に駆けつけてくれた。
コロナがあったから、ホンモノを目指すと再確認できた。
コロナがあったから、新しい繋がりが生まれた。

僕は僕の哲学(自分らしさ)を大切にしながら
応援してくださる方々に頼りながら、感謝しながら、
圧倒的な努力をし続けて、自分をアップデートしていきます。


言ってしまった。笑


もう逃げられない。
自分が楽しむことを忘れずに、磨いたスキルを誰かのために活かせるよう頑張ります。

誠さん、忍さん、むっち
「ホンモノの愛」を痛いほど感じて感激と感謝で胸がいっぱいです。
前に進む力をありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。

Special Thanks to:Hickory Wind

大き過ぎて手の届かない背中を、
自分の哲学を持って追っていきたい


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事