この度、プロのネイチャーガイドになることができました。
まずはじめに、僕が北海道アウトドアガイド試験に合格できたのは、家族や友人、多くの方々のサポート無くしては成しえませんでした。
この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたいです。
本当にありがとうございました。
Contents
プロのネイチャーガイドになると決めた日
北海道知事認定アウトドアガイド資格を取ると決めたのは、2020年の6月。
僕の尊敬する安藤誠さんが奥尻島に会いに来てくれたことがきっかけです。
挫折
昨年の10月に野幌森林公園で最終実技試験に挑みます。
結果は、不合格。
人間は悔しさが最大に達すると、フリーズすることを経験しました。笑
「試験に落ちてよかった」
そう思えるように過ごすことを決め、悔しさを力に変えるために、
勉強机の正面に、試験に落ちた受験票をラミネートして飾りました。
僕の再チャレンジが始まりました。
試験までの道のり
僕は、今回の資格取得を一流のネイチャーガイドになるための通過点でしかないと考えていたので、
「試験に受かるためだけの勉強」はしたくなかった。
いわゆる「試験対策」的な、動植物の名前を覚えることは後回しにして、
世界史、日本史、北海道史、アイヌ文化、生物学、動植物の基礎から始めました。
この8ヶ月間、時間があればずっと机に向かい、フィールドに出ては学びを深めていきました。
勉強はとても楽しく、日に日に目に映る世界が広がっていくのが自分でもわかりました。
自然は全てが繋がっていて、点と点だった学びが線となるタイミングがたまらなく嬉しくて、知的好奇心やセンス・オブ・ワンダーが爆発します。
気が付いたら本の山に。笑
「勉強したこと」に満足して終わってしまうことが怖くて、必死にアウトプットをして自分の身になっていることを確認しながら進みました。
飽きもせずに話を聞いてくれた妻や、遊ぶ時間を少し我慢してくれた子どもたちに感謝です。
いざ試験へ
試験は5/23に釧路で行われる予定でした。
一日でも早く合格したかったので、覚悟を決めて奥尻島からエントリー。
試験会場の植生や特徴は奥尻島とは全く異なるため、ハードルは高いと思いましたが、
ガイドとしての幅を広げられる良い機会と思い、挑戦することにしました。
しかし、予定していた試験は緊急事態宣言により6/10に延期、そして更に6/30に再延期となりました。
気合が入っていた分、気持ちを維持するのにはエネルギーが必要でしたが、
みなさんも経験したであろうテスト直前の「学びのゴールデンタイム」が3回体験でき、実際にこの1ヶ月で大きく成長できたと思っています。
フォレストレック
試験に向けて島を出て、まずニセコを中心に活動されているフォレストレックの矢吹さんのネイチャーガイドを受けに行きました。
昨年、アイヌ植物学を学びにウポポイへ行った際に、そこの学芸員さんにオススメされたのが矢吹さんでした。
矢吹さんのガイドを受けて、僕のガイドスタイルや勉強方法がクリアになり、今まで闇雲に頑張っていた自分に一筋の光が見え、嬉しくて涙が出てきました。
お客さん自身が本当に「見る」「知る」「体験する」こと。
お客さんに合わせて「感性」と「科学」を組み合わせていくこと。
そのためにガイドとして自分が自由になるためには「スキル」が必要だということ。
これからのガイド人生において、とても大切なことを教えていただきました。
増々奥尻島で頑張れそうです。
ヒッコリーウィンド
僕の人生に彩りを与えてくれたヒッコリーウインドへ。
今回の4日間の滞在で「無償の愛」を溢れるほど受け取り、感謝してもしきれない気持ちでした。
まず、初日は早朝から「キラコタン岬ツアー」へ研修生として参加させていただきました。
試験直前と言うこともあり、お客様に最大限配慮をしつつも、僕たち受験生のためにも色んなお話や経験をさせていただきました。
その中でも忘れられないのが、打ち合わせ無しで突然、
「雄斗ガイドしてみろ」
そう言われて、頭が真っ白になりながら初めての場所でガイドをさせていただいたことです。
誠さんは、
「今のガイドは100点。最初から100点を出す研修生はなかなかいない。
小学生にもわかるように伝えること。だからこそツアー内容をお持ち帰りしてもらえる。
そして、自分の感性で、自分の言葉で、ストーリーを語れることがすばらしい」
そう言っていただいたことは、僕のガイド人生で忘れられない心のお守りになりました。
その後も、ガイドとして大切なエッセンスをたくさん与えていただき、
一緒に試験会場へ来て、最終調整までもしてくださいました。
僕たちにこんなにも時間と愛を注いでいただいて、もう感謝しかありません。
そしてもう一つは、同じ志をもった仲間「津島智子さん」との出会いです。
智子さんは、英語とフランス語の全国案内通訳士の国家資格を持ち、関東を中心に活動されています。道外在住なのに北海道アウトドア資格に挑戦するほど、真っ直ぐでピュアで熱い方です。
同志と互いに高め合い、練習を重ね、励まし合いながら学べることがいかに素晴らしいことなのかを知りました。
ヒッコリーには同志が集うのも最大の魅力です。
試験当日
試験当日、僕たちは6時にヒッコリーを出発。
ヒッコリーの忍さんがおにぎりとお弁当を持たせてくれました。
忍さんは常々こう言っています。
「食とは想いを伝えること」
僕たちは、忍さんのお弁当から僕たちを心から応援している「想い」が伝わってきて
試験前も、試験中も、試験後も涙していました。
はい、泣いてばっかりです。笑
試験に関しては、待ちに待った日をやっと迎えられてワクワクしていました。
前回の試験では、正直自信を失いトラウマになっていました。
でも、不思議と同じ試験官だったらいいな。と思っていました。
願いが通じたのか、同じ方でした。
10分のガイディング実技終了後、昨年と同じ試験官の方に「あっという間でした」と言われ、
昨年ほとんど応えられなかった5分の識別に関する質問も即答でき、
面接では「随分自信がありましたね」そう言っていただけてとても嬉しかったです。
誠さんは、「自信はオーラとなって試験官に伝わる」と言っていたのを思い出しました。
誠さんに対してガイドをすることが一番緊張するので、試験ではリラックスできたのも事実です。笑
試験後は、「やり切った」と心から言えた時点で後悔はなく、達成感がありました。
合格していたら嬉しいけど、どっちにしろ学び続けるので落ちていたらまた挑戦すればいいと思っていました。
何より、前回の自分と今の自分のガイドスキルがどれだけ変わったかを試験を通して確認できてよかったです。
試験を終えて
最終日の夜はヒッコリーのBARでしっぽり極上の時間を過ごさせていただきました。
そこで飲ませて頂いたのが「Chivas Regal 水楢」
実は、試験前に誠さんからテーマを「ミズナラ」で模擬ガイドするように言われ、
ドキドキしながら、誠さん相手にガイドをしました。
その時、誠さんから、
「もし今回試験に落ちても、お前はガイドになったほうが良い」
そう激励していただきました。
僕はもし試験に受かったら、この「Chivas Regal 水楢」を購入して、
「試験に臨んだ気持ち」や「ガイド人生の初心」を思い出すものとして、
「お酒に敬意と意味を持たせる」と誠さんから教わったことを実践しようと決めました。
合格発表
合格発表当日。
やっぱり受験番号を確認するのは勇気がいります。
家族にそばにいてもらって確認。
一番最初に自分の受験番号がありました。
もちろん嬉しかったけど、支えてくれた方々にお礼を伝えたい気持ちが沸き上がってきました。
お世話になった方々に電話で報告した時に、皆さんの優しさに触れてはじめて涙がこみ上げてきました。
島内でも沢山の方々に「奥尻島のために頑張って」とエールをもらっていました。
家族や友達、多くの方々の支えがあってこそ、やっとガイドとしてのスタートラインに立てました。
「合格」によって、周りの方々が心から喜んでいただいたこと、一生忘れません。
これから更に精進して、恩を返していきたいと思っています。
そして、ガイド人生の始まりを記念して「Chivas Regal 水楢18年」を購入。
僕にとって特別なお酒となりました。
そして、前回落ちたことにも感謝できました。
これからの豊富
奥尻島初、プロのネイチャーガイドとして、誇りと責任を持って活動していきます。
この「合格」はあくまでスタートラインに過ぎず、「資格を持っている=素晴らしいガイド」なわけではありません。
「奥尻島に行くなら外崎雄斗に任せる」
「外崎雄斗に会いに奥尻島へ行きたい」
そんな男になれるように、日々積み重ねていきます。
「極まることのない世界を極めようとするのが”ガイド道”だ」と誠さん。
目の前のお客さんに最大限喜んでいただくのはもちろん、
ゆくゆくは奥尻島のネイチャーガイドを育成できるように力をつけていきたいです。
これからも、引き続きよろしくお願いします。